印鑑が30万円、○○するまで帰らない。霊感商法で働いた話

霊感商法

霊感商法ってどう思いますか?

どうも、み↗ろく( @MirokuNet)です。

若かりし時、霊感商法の業者で働いたことがあります。はじめ、そんなものとは知らずに勤めだしたんですが、同行するうちに「あ、やばい。この会社やばい」と見抜きました。

テレビで見るようなゴリゴリのあおり方です。ゴリラもびっくりなゴリゴリあおりです。

そこで僕が見た「霊感商法のやり口」を赤裸々に語ろうと思います。

霊感商法業者に入社への道のり

求人誌に普通に載っていた

僕は1年働いた会社をやめた後、次の仕事を探していた。そんな状況を知っている元同僚が「高給でいい仕事あるよ」と誘われたのが今回の会社である。ちなみに元同僚も働いている。

仕事内容は

  • 表札・印鑑の訪問販売
  • 初月の給料は27万円(次月から15万+歩合)
  • 感謝される仕事

とまあ、今考えたら「いかがわしい」においがプンプンだ。しかし、当時の僕は社会のダークサイドを知らず「あ、そんなのあるんだー」くらいの軽い気持ちであった。

応募するため求人誌を購入。「あつまるくん求人案内」だ。メジャーな求人誌だから変な会社が掲載されているなどつゆにも思わなかった。しかも、募集ページがほんわかしており、おじさんが田園で微笑んでいるイラストだった。

田園

ゆるい会社だと思った。

一回ぶっちしたのに面接して採用

電話すると、面接日が決定。にもかかわらず、僕はぶっちした。(ぶっち=ぶっちぎるの略)

理由は「やっぱ訪問販売きつそうじゃん」だ。もっとスタイリッシュな仕事はないか探したけど、当時の僕にこなせそうな求人はなかった。

仕方なく、恥をしのんでもう一度電話をすると、また面接日が決まった。ぶっちしたのに許してくれるなんて「いい会社やな~」と思ったのが素直な感想である。後日、面接に訪問。

10分ほどで終わった。50代くらいのやたら覇気のある男性が履歴書を一読して会社説明。「とりあえず、仕事やってみたらいい」「来週から来て」と促され僕は入社することにした。

この時、浅はかな僕は何も考えていなかった。

霊感商法業者の研修

オフィスの様子

数日後、入社した。といっても研修だ。オフィスは広くて120坪くらいはあったと思う。

各チームごとに人数分のデスクが固められており、所長と呼ばれる人が先頭になっている。喫煙者と非喫煙者は離れて座るようになっていて、健康面にも配慮した職場である。見た目もいたって普通だった。壁には営業成績表が貼ってあり、優秀者には花マルがついていた。花マルは月給100万円を意味すると教えられた

そんな話を聞けば「頑張れば僕だって…」と期待を抱いてしまう。

研修1日目 座学

研修は、酒臭いおっさんが講師だった。表札や印鑑の営業と聞いていたが、研修が始まると姓名判断の座学が始まった。そこで渡されたのが、姓名判断の手帳。

「この手帳は1千万円の価値がある」と講師のおっさんは力説していた

手帳

自分たちは占い師ではなく、あくまで統計学にもとづいて吉凶のアドバイスをするという。お客さんは自分たちのことを「先生」と呼び尊敬されるし感謝されると言っていた。そういえば、事務員が営業マンことを「先生」と呼んでいたのを思い出した。

僕はまだ、何も怪しむことなく「そんな仕事もあるんだ~」程度で聞いていた。

おっさんは結構スパルタで、問題に正解できなかったら「このバカっ!」と罵倒してきた。むかついたので、おっさんが席を外した時、紙コップのお茶に鼻くそ入れてやった。それをうまそうに飲むおっさんはアホだと思った。こうして研修1日目は終わった。

研修2日目 ちょっと同伴

外回り営業の同伴が始まった。朝8時に会社を出て、車で県境まで行く。訪問販売は都市部より田舎を狙うのだ。田舎の人は話を聞いてくれるという。

男性所長に同行して一戸建て住宅を訪問。所長は洗濯物が干してあるか、車があるかなどで人の「いるいない」を判断していた。山頂や山のふもとの住宅を狙っていたが人がおらず、時間だけが過ぎていく。途中、トイレに行きたくなるとガソリンスタンドで用を足した。

訪問販売ってトイレ問題が大変である。付近にトイレがないと立ちションだ。手を洗っていないのに、その手でインターホンを押すのだから申し訳ない。訪問販売がインターホンを鳴らしたらほぼ「手を洗っていない」を思っていい。

この日は、一人だけ話をした。所長が「立て板に水」の営業トークで世間話から表札の話題までもっていったが、お客さんは関心なしで空振っていた。訪問販売の押しの強さに、僕はちょっと引いた。

営業マンって色んな人がいる。会話のキャッチボールを成立させる人、一方的にまくしたてて相手の思考を混乱させて契約に持ち込む人。迫力のある営業マンは個人的に嫌いなので、参考にはしまいと思った。こうして研修2日目は終わった。

研修3日目 霊感商法と気づく

翌日、朝8時に会社を出た。車の中で先輩たちが変な会話をしだした。

「今日、ジジイとババアを確保して印鑑契約しますよ」「表札を買う時、嫌がっていたけどクレジット加入させましたからね」

と笑っていた。意味がわからなかった。だた、お客さんを「ジジイとババア」呼ばわりしている時点で「おかしい」と思った。なんか、車の中での会話が不愉快だった。「田舎の人は信じやすい」「島の人はやたらと団結していて面倒くさい」と詐欺師のような立場での発言が目立った。

雰囲気がおかしいので、仕事の流れや会社の詳細を質問してみた。すると、よくない答えが返ってきた。

表札を購入する時に字画について不安をあおる。その後、開運に詳しい先生を紹介して「幸福の印鑑」を提案するという。

  • 今の表札は縁起が悪いとおある
  • 「当社の表札は材質がよく運気が変わるといわれている」と提案
  • 支払いはクレジットで
  • 後日、字画が悪いとさらに不安をあおり「幸福の印鑑」を売る
  • もちろん支払いはクレジットで

驚きの、印鑑の額30万円!

町の印鑑屋さんでも高くてせいぜい2,3万円程度なのに

これは霊感商法だとはっきりわかった。その瞬間、辞めることを決意した。でも、手元にお金もなく帰り賃に困ったので1日我慢しようと思った。

外回りで僕は先輩に同行した。

そのうち、1軒の訪問する。優しそうな年配の女性で玄関まで侵入を許された。「いい人」は門前払いせずに玄関まで入れてくれるから危ない。先輩は世間話から表札がいかに大事かを語りだした。

続いて、お客さんの 姓名判断をしだした。悪徳占い師がよくやる話術で、大体誰にでも当てはまる「コールド・リーディング」だ。「家族に体が悪い人いませんか」「仕事で行き詰まっている人いませんか」と聞けば家族親戚で誰か一人は当てはまる。

お客さんは「息子の事業がうまくいっていない」と打ち明けた。これこそがカモだ。いっちゃ悪いが連中からしたらカモだ。ここぞとばかりに先輩はたたみかけた。

「字画に原因がありますね」「あと、家の門構えで表札を変えるだけでも運気が上がるといわれます」

不安をあおり、「息子さんのためにも、ここで運気を変えましょう」……ほざくなと思った。僕は母親くらいの女性が深刻な表情で悩んでいる姿を見ていたたまれなくなった。くそみたいな連中がほくそ笑むのが許せなくて一言放つ。

「でも、息子さんは仕事がんばっているんですよね」

話の流れが変わった。

「そうね、息子にも相談してみます」

お断りいただいた。いい判断だ。客宅をあとにすると、案の定先輩はブチ切れた。

先「余計なこと言うなよっ。もう少しで契約になるところだったのに!」
僕「はあ、すみません…(思ってねーよ)」

不毛な会話をした後、口をきかなかった。

帰路

その後は同行を許されず、マクドナルドで待機させられた。100円のコーヒーを飲みながら3時間は過ごしたと思う。

先輩が迎えにきて車まで向かう途中、服につく植物の「ひっつき虫」が生えいていた。それをちぎっては、後ろから先輩の背中めがけて投げつけた。バレないように投げつけた。

「ひっつき虫の数だけ善人の涙や」と念を込めながら投げつけたので、会社に戻るまでびっしりついていた。

ひっつき虫

気分はヒソカの「伸縮自在の愛(バンジーガム)」能力者である。

スボンサーリンク

やり口を詳細に言うと

すっきりしないので、会社を出ると僕をこの会社に誘った元同僚に詳しいやり口を聞いた。すると「契約するまで帰らない」スタイルだという。

  • 表札を買う
  • 後日、先生付きの3人で訪問
  • 字画が悪いので今のままでは不幸は続くと脅す
  • 幸福の印鑑を売る
  • 支払いはクレジット

男3人で訪問すれば、普通怖いでしょ。しかも、不幸なのは字画が悪いことが原因という。で、先生というのが羽織袴(はおりはかま)の祈祷師スタイルだ。

祈祷師

あまりに非日常だろう。家に祈祷師スタイルのおっさんがやってくるなんぞ考えもしない。その異様な雰囲気かつ契約するまで帰らないことで、お客さんは根負け。

嫌々、契約をさせられる。

ほぼ年配の方が対象である。確かに田舎の方に行くと、在宅しているのは年配の方ばかりだ。悪質だと思った。元同僚に「なぜ、大事なことを言わなかったの?」と聞くと、本人も先日知ったばかりで驚いていたらしい。

早よ言えや!

これは絶対摘発されると確信したのでぶっちこいた!

翌日、ぶっちこいた。会社を無断欠勤。電話がかかってっくるでもなく数日が過ぎた。

何も連絡がないということは、いつものことなのだろう。よく人が辞めてゆき、すぐに補充する。

給与の受取について、会社は地元銀行を指定していた。僕はまだ、その銀行口座を開設していなかった。

なので、給与が振込まれることない。そもそも、受け取ってはいけないのだ。3日分だから大した額じゃないし、貯金もあったからなんとかしのげた。

(オチ)予想的中! 福岡県警が家宅捜索。社長逮捕

それからどうなったかというと、案の定、特定商取引法違反(脅迫・困惑)の疑いで会社も家宅捜索された。会社社長は逮捕された。社長らは女性2人(74)(61)宅にて「名字が悪いのであなたの息子は早死する」などと脅して印鑑190万円を契約させた疑いである。

なるべくしてなった結果。ただ、クレジットでローンを組んでしまった人たちは報われないな。そういうとこ、クレジット会社は汲み取るべきだと思う。犯罪でローンを組まされたのに、クレジット会社は利益を手放さないのも暗部だろう。

家族に言えないような仕事はしない

働いていた人たちは、今頃自分がやったことに後悔しているだろうか。家族を養うためと割り切っていた人もいるだろうが、脅して得たお金で子供を養っても後味が悪いはずだ。

家族に告白したら崩壊するかもしれない。

胸を張って、自分がどんな仕事をしているか、「家族に言えないような仕事」はやってはいけない。

仕事は充実感をもってやるものだ

おしまい

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