コールセンターで働いていたことがある。とかくぼくは一部の人たちに嫌われていた。
まあ働いていれば人間関係やしょうもないしがらみは付きもの。そう、「憑きもの」なのだ。
だから、何を言われようがされようが相手にしない。そう日々を送っていた。
ある日、家庭の事情があって出勤がむずかしくなり辞めることになった。すると、理解者である直属の上司は引き止めてくれた。グチも聞いてくれた。
「出勤日数を減らしていいから辞めないでほしい」とまで言ってくれた。
だけど、コールセンターの人間関係に嫌気がさしていたぼくは「家庭の事情が1番の理由だけど、もう嫌気がさした」とかたくなに拒否した。
今思えば、あんなに話を聞いてくれる人は人生でいなかったと思う。一時間以上も溜まっていたストレスを吐き出したのに、嫌な顔ひとつせず黙って聞いてくれた。
だけど、ぼくは退職を強引に決定させた。
それからは、月末で辞めることが上司たちに知れ渡っていた。数人は「家庭の事情」以外に「人間関係に嫌気がさした」ことも知っていた。
ぼくが、そんな思いを抱いていたことなど知らなかったのだろう。
女性の上司が「大丈夫?」と声をかけてくれた。ぼくがすっとぼけて「何が?」と返したら「その他諸々」と答えた。
それが優しさから出た言葉だとわかった。
男性の上司が「誰がキミに嫌な思いをさせたんだ、やっつけてやる」と言ってくれた。いつもぼくに声をかけてくれた人だ。
うれしかった。
退職の当日、上司以外、一部の人を除いては辞めることを伝えていなかったが、女性の先輩がお菓子をプレゼントしてくれた。人がぼくを避けるなか、声をかけてくれてた人だ。
ぼくと仲良くしていたら、恋愛感情があるように冷やかしの陰口を言われて巻き込んでしまった女の子がいた。普段、感情を出さないタイプなのに声を大きくして残念がってくれた。
仲の良かった男の子たちがLINEで「お疲れ様」とねぎらってくれた。
一部の人たちには、とても嫌われていて、いろんなことがあったけど
事情を知って、ぼくを心配してくれた人たちには本当に感謝している。
だから
その人たちに心から
「ありがとう」と言いたい。
気遣ってくれて感謝している
心配してくれて感謝している
元気づけてくれて感謝している
ありがとう。
おしまい。